子どもが生まれ、言葉を覚えはじめる。「みんみ」(ミカンの意)や、「ちっくん」(注射の意)などと言っている内は平和である。しかし無慈悲かな、時は待たない。気が付けば「うんこ」を連呼の日々。もっと綺麗な単語を言ってほしいなどという親心はよそに、彼は意気揚々と当該単語を織り交ぜた歌ーこれは概してその時期に放送されているスーパー戦隊のオープニング曲が採用されるのだがーを大声で熱唱している。

と同時に、この時期は親と子の間でのコミュニケーションの在り方も変容する。会話の最中に頻繁に「質問」が介入するようになるのだ。
「クエストって何?」(ドラクエ11をプレイしながら)
「8時半って何?」(保育園へ行く時間だよという僕の声かけに対して)
「地球が丸いってどういうこと?」(google earthを見ながら)

といった具合なのだが、質問内容が物事の本質的な部分に触れるものが多いので、下手なことが言えないという難題が事あるごとに降ってくる。結果、辞書を引く機会が増えるのである。

 

 

言葉の二つの側面

 

言語学者であるソシュールによると、言葉には二つの側面があるという。その言葉が持つ「文字的・音声的側面(シニフィアン)」と「意味的側面(シニフィエ)」である。先のドラクエの質問に当てはめると「クエスト」という文字や音自体と、「探し求める、探求する」という意味内容の二つの側面を持つということだ。
どうやら息子は自分が聞いた言葉の音(シニフィアン)とそのシニフィエ(意味)の結合ー言葉のシーニュ(記号)化ーを日々行っているようだ。

 

さて、「DAW」という言葉がある。「ディー・エー・ダブリュー」もしくは「ダウ」がシニフィアン。「録音、波形編集、MIDI編集、ミキシングなど、音楽や効果音制作における一連の作業を行うためのシステムの総称」。これがシニフィエだ。

DAWには数多くの機能がある。僕はそのDAWを使い音楽を作っているのだが、ある日のこと、あることを自覚した。DAWの機能のシニフィアンとシニフィエの結合が不十分だということ。各機能の音と意味の結合が楽曲制作のワークフローに与える影響の大きさに。である。そしてこの気づきは、多分だが、息子からの素朴で純粋な質問によるところが大きい。どうやら僕はDAWのマニュアルを再び開くことが必要のようだ。

 

 

DAWを知る。再び。

 

Studio One。モダンコードで書かれた比較的新しい世代のDAWソフトウェアで、作曲からマスタリング、sound cloudへの配信までもをサポートするオールラウンダーであり僕のメインDAWでもある。
僕は向き合う最初の対象を、ソング画面と呼ばれる作曲をするためのワークスペース。そのGUIに定めた。

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Studio Oneソング画面の俯瞰である。

 

 

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