2018年5月1日。ソフトウェア音源デベロッパーの巨頭VSL(ヴィエナ・シンフォニック・ライブラリー)から最新のピアノ音源が発売された。

ヤマハのフルグランドピアノのフラグシップである「CFX」をフィーチャーした、2018年DTMニュースの中でも特に激熱で卍エモいビッグイシュー。これを書かずして何を書く。

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1台のピアノを録ったら240GBになりました。

 

ソフトの名は。「シンクロンピアノ」
昨今の大容量サンプリング音源の流れをド真正面から引き継ぎ、総容量は堂々の240GB。(スタンダード+エクステンド=フルライブラリの場合)
ひと昔前までは4台のピアノをサンプリングして240GBとかだったものが、1台のピアノのみで同じ容量を使うまでになったのである。
良いか悪いか、好きか嫌いか、はさておき。

なんでそんなに容量を喰うのか。といういう内実は、1鍵盤あたり最大4200個のサンプリング音がぶち込まれており、総サンプル数約24万という自分でサンプラー構築したことある人でもそうそう手出しできねぇ物量を引っ提げていらっしゃるから。

そして、次が僕一番の感涙ポイント。VSL初となるマルチマイクポジションの調整が可能なピアノ音源なのだ!これを喜ばずして何を喜ぶ。
マイクは贅沢に10本使い!使いこなせる自信?うん。ない。

VIENNA IMPERIAL持ってるんだけどさ。

さて、このCFXが出るまで、VSL製のピアノ音源の頂点は2012年8月ローンチの「VIENNA IMPERIAL」だった。ドイツが誇るBosendorfer Imperial 290-755 を音源化したとても高品質なものだったが、僕はその少し籠った音色が肌に合わずに使用を断念したのだった。人の好きほど偏るものはない。

で、当時のサンプリング音源ではまだ複数のマイクコントロールを実装するものは少なく、ご多分に漏れずVIENNA IMPERIALもマイクは固定で、3種類のプリセットを切り替える仕様だった。

マルチマイクのコントロール化を押し進めたのは、その音質と操作性と、お値段までもがグレートなグレートブリテンのデベロッパー「SPITFIRE AUDIO」と、音源一つも持ってないので気の利いた形容が全く湧かないから社名だけでゴメン的な「EastWest」なのは明白だが、余談過ぎるので話を戻すと、要するに当時(2012年くらいから)

「気に入った音色のピアノ音源で、マイクの位置、コントロールしたいなー。音像のコントロールしたいなー。」

と思っていたDTMer&DAW女子が多かった。ということだ。多分。
そしてその夢がついにカムトゥルーした。ということが言いたいのだ。恐らく。

美しく響くのは絶対条件なんです。

何をもって美しいのかなど、僕には言語化できない。僕がピアノ音源に求めるもの。それは「弾いていて気持ちよくなれるか」である。

美しいアンビエンスに包まれる代わりにコレジャナイ感に包まれるのはもう本当にゴメンこうむりたい。

そして「MacのCPUを労わってくれる設計であるか」も見逃せない。
気持ちよく引いてたらオーバーロードとか。DAWのCPUメーターに赤が付くとか。
悲しくなるから。
ウチのIntel Xeon 12コアちゃんに何してくれちゃってんの!?と言いたくなる。親として。
※DTMするんなら12コアじゃなくて8コアの方がいいよ?的な意見も、買う前に言ってよ!と言いたくなる。人として。

またまた、メモリを効率よく使えるか。も大切である。最近のマシンは16GBとか32GBとか64GBとかメモリ積めるんだから、サンプルのプリロード機能は有用でしょ。絶対。

ドラム音源のBFD3なんてメモリにサンプル全部読み込ませる機能付いてるのよ!あーゆーの欲しい!みんな欲しくないの!?

NIのKONTAK音源は、その辺りの機能があまり優秀でなくて(僕の知識不足かもしれないが)メモリ結構余ってるのにすぐCPU赤くなることが多かった。というか今でも多い。
特にSPITFIREのHZP(ハンスジマーピアノ)って音源に至っては、音色最高なのに動作重すぎる!残念極まりないよスタンウェイ!
あ、また話がサイドウェイにそれた。

1回まとめると。

1、音色に一貫性と統一性があって

2、ガンガン弾いてもCPUが悲鳴を上げないできびきび動いてくれて

3、音色やリバーブやアンビエンスの調整ができる深いフトコロを持っている

そんなピアノ音源ないですか?と彷徨っていた僕に、VSLが「はい、どうぞ」と作ってくださったのがCFXである。
上記要望を叶える機能がしっかりと搭載されているではないか。
すごいぞVSL!
すごいぞヤマハ!

坂本龍一のCDの音がする。気がする。

坂本龍一が好きだ。だから当然?ヤマハのピアノの音も好きだ。
で、音色の統一感だが、ppp~fffまで(ベロシティー1から127まで)破綻なく統制されてて、もう最高。泣いた。エナジーがフロウした。

CPU使用率は、後述のマイク本数と同時発音数やメモリのプリロードのバッファ量で変わるが、20%~多くて瞬間的に40%弱と言ったところである。低くはない。が、マイクを3本使い、同時発音400で可能な限りサンプルをメモリに展開するとサスティンペダル踏みっぱなしで16小節くらい即興ぶっこいてもCPUに赤はつかない。大満足だ。

メモリへのプリロード機能も秀逸。約11GBのサンプルをメモリ上に展開してくれているのでCPUメーターの動きも微々たるものである。
ああ、なんて精神を衛生してくれるシステムなんだろう。
KONTAKTも見習った方がいい。

10本のマイクの内訳を見ていこうじゃないか。

冒頭でかなり前のめりに熱く語っていたマルチマイクコントロールの話が空中分解しそうなのでそろそろ突っ込んで語ってみたい。いや、実はそんなに語ることはないのだが。
下の表をテイク・ア・ルック。さあ、どうぞ。

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1. Room Mic (Mix) STD
2. Close 1 (Schoeps MK 4) STD
3. Close 2 (Royer SF-24) FULL
4. MID 1 (Sennheiser MKH 800) STD
5. MID 2 (Sennheiser MKH 8040) FULL
6. Main/Room Mic – Decca Tree Stereo (L/R)(DPA4006) STD
7. Main/Room Mic – Decca Tree Mono (Center)(DPA 4006) STD
8. Main Surround – Stereo (L/R)(DPA4011) FULL
9. High Stereo (3D) – Stereo (L/R)(AKG C414) FULL
10. High Surround (3D) – Stereo (L/R)(AKG C414) FULL

僕はレコーディングには大分疎い。根っからの打ち込み系DTMerである。だからマイクなんてAKG C414くらいしか分からないが、まあ、とりあえず優秀なマイクで丁寧にサンプリングされていますよ。ということだ。

残念なのは、VSLはレコーディング時のサンプリングレートを公表していないのでCFXが何kHz / 何bitで録られたのかが不明である点だが、音いいからどうでもいいか。いや、少し消化不良かも。

上表右欄の「STD」はスタンダードライブラリーで使用できるマイクのこと。「FULL」はエクスパンションライセンスを購入すると解放されるマイクである。

マイクは個別にオンオフを切り替え可能な仕様になっている。
MID1だけオンにして使う。CLOSE1とMID2をブレンドして使う。10本全部使う!何でも来いだ。
マイク毎にリバーブのオンオフも付いている。デッドでニアなサウンドが欲しい人も安心。無論、使用マイクの本数とマシンへの負荷はトレードオフとなる。

ちなみにVSL本家のサイトから仕入れた情報によると、サンプルレコーディングには数か月を要したそうだが、その間レコーディングしたホールの暖房、換気、空調はコンピューターで同一状態になるように管理されていたとのことである。

同様にピアノも録音期間を通して一貫した状態にチューンされていたそうで、もうVSLのサウンドの一貫性への執念には、普段一切帽子をかぶらない人間が言うのもアレだが脱帽しっぱなしというか敬服であります。ほんとありがとう。

レコーディングスタジオのことも語ろうか。

CFXがレコーディングされたのは、VSLが所有するSynchron Stage Viennaという施設のスタジオA(メインホール)である。映画音楽のレコーディングなどでも使用される540㎡もあるホールで、最近だとパシフィックリム・アップライジングの劇伴もここでの仕事だそうだ。プロ仕様。ね。

購入前に僕が知りたかったこと

YAMAHA CFX(ソフト名はサイクロンピアノ)の仕様をQ&A形式でまとめ。

Q01.デモ聴くとやたらリバービーなサウンドが多いけど、デッドな音も出せるの?
A01.ばっちり出せます!目の前にピアノがある!って感じに響くぞ!マイクのオンオフとフェーダーで好みのサウンドを作りましょう。そうしましょう。

Q02.やっぱりフルライセンス買った方がいいのかな?
A02.スタンダードだけでも十分!慣れたら追加購入でも遅くない!

Q03.デモないの?
A03.残念!ありませーん!多分。僕も探したんだけどね。

Q04.GUIの画面小さいのやなんです。
A04.画面サイズを200%まで拡大できるのでフルHDでも4Kでも操作しやすいぞ!

Q05.KONTAKT音源ですか?
A05.ノーノ―!VSLオリジナルの「サイクロンピアノ」っていうソフトウェア上で動くぞ!

Q06.スタンドアローンで動きますか?
A06.2018年5月1日時点では動きませーん。DAW上でプラグインとして起動してレッツプレイ!

Q07.なるべく安く買いたいです!
A07.2018年5月中なら27%OFFでゲットできるぞ!

Q08.MIDIラーン機能ついてますか?
A08.YES!付いてまーす!マルチマイクのフェーダを外部MIDI機器で操作しちゃおうぜ!

最後に

ソフトウェア音源も沼の一つだが、ピアノ音源に関してはもうその泥濘にハマらずに済みそうだと思いつつ、音源なんて究極の後出しジャンケンだからやはりこれからもずぶ濡れになっていくのかもとやっぱり思い直しながら、満足したので今日はこの辺で筆を置きます。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
もれなく音源沼にハマったDTMerのあなたにとって、少しでも有益な情報になったのなら幸いです。つまんなかったらゴメンなさい。
でも懲りずにまた書きます。

それでは、また会う日まで。

砂塒雁治

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